今年は、例年になく、稲が倒れてしまいました。
8月ごろ、出穂し花が咲いたころかな、
そのころ、台風のような強い風が吹いたわけでもないのに。

いつもは台風のころ、慣行農家さんの稲が倒れても、
私たちの稲は倒れないことが多かったのに、
今年はばったばたと倒れてしまいました。

私もまだ田んぼを始めてから日が浅いので、
なぜ今年はそんなにみんな倒れてしまうのだろう?と
わからなくて、やっぱり異常気象のせいなのかな・・・・と思っていました。

でも岩手に行き、宮沢賢治の詩集を買ったのですが、
その中のある詩を読んで、「湿度」のせいなのかもしれないなぁと
思いました。

一部抜粋させてもらいます。

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<和風は河谷いっぱいに吹く>

とうとう稲は起きた
まったくのいきもの
まったくの精巧な機械
稲がそろって起きている

・・・中略・・・

あらゆる辛苦の結果から
七月稲はよく分けつし
豊かな秋を示していたが
この八月のなかばのうちに
十二の赤い朝焼けと
湿度九十の六日を数え
茎稈弱く徒長して
穂も出し花もつけながら
ついに昨日のはげしい雨に
次から次へと倒れえてしまい
うえには雨のしぶきのなかに
とむらうようなつめたい霧が
倒れた稲を被っていた
あゝ自然はあんまり意外で
そしてあんまり正直だ

・・・後略・・・

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今年はいつもよりも、湿度が高い日が多かったんじゃないかな、
という話をしていて、この詩を読んでぴんと来たんだけれど、
困ったことではあるんだけれど、
時を越えて、宮沢賢治の感じた思いを共有できたようで、
ちょっとうれしかったんです。
喜んでる場合じゃないんだけれど・・・

昔も科学技術が発達した今も、自然にはかなわない。
ただ受け入れていくことしかできないんだな、って思いました。

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